ただし興味深いことに、同時に人々は「努力をすると、その分あまり楽しくないのではないか?」とも考えていたのです。
つまり、多くの人は「意味があること」と「楽しいこと」は、同時には手に入りにくい、どちらかを取るともう片方が減ってしまう(トレードオフの関係)と感じていたわけです。
では、本当にそうなのでしょうか?
そこで研究チームは、「研究2a」と「研究2b」、そして「研究3」という3つの実験を行って、実際に「努力の必要な余暇」と「努力がほとんど必要ない余暇」を体験した時の人の感想を調べました。
研究2aと研究2bでは、数独という頭を使うパズル(努力がいる活動)と、YouTubeでかわいい動物の動画を見ること(努力がほぼ必要ない活動)の2種類の活動を比較しました。
一方、研究3では、同じく数独パズルと、「クリックするだけで簡単に絵が表示されるゲーム」を比較しました。
いずれの実験も、「どちらの活動のほうが意味があると感じるか?」また「どちらがより楽しいと感じるか?」ということを比べました(細かい実験方法は次のセクションで詳しく説明します)。
結果は非常にはっきりとしていました。
数独パズルのように「努力が必要な活動」をした人たちのほうが、「動画を見るだけ」や「クリックするだけ」の活動をした人たちよりも、その時間を「意味がある」と強く感じていました。
しかも意外だったのは、数独のように努力のいる活動であっても、「楽しさ」がまったく失われなかったことです。
むしろ、場合によっては簡単な活動よりも楽しめることもあったのです。
私たちは普段、「大変なことをしたら楽しめないはずだ」と考えがちですが、実際にやってみると、「努力的な遊び」でも十分に楽しさを感じることができました。
ここで終わりではありません。
研究チームはさらに「研究4」と呼ばれる調査で、実際の生活のなかで「努力的な活動」をすると、どのような気持ちになるのかを確かめました。