また、ロシアの大富豪ドミトリー・リボロフレフ氏が2011年にクラブを買収後、多額の投資でスター選手を獲得したが、UEFAのファイナンシャルフェアプレー(FFP)規定に違反。2019年に罰金処分を受け、クラブは若手育成・売却モデルに転換した。
さらにはサッカー界にまつわる内部告発サイト「フットボール・リークス」が、ASモナコの移籍取引やリボロフレフ氏の資金運用に関する不透明な実態を報じ、同氏には別件で司法への介入や不正資金操作の疑惑も浮上。いわゆる「モナコ・ゲート」と呼ばれるスキャンダルへ発展した。

FIFA汚職事件(2015年)
FIFA(国際サッカー連盟)を舞台にした2015年の汚職事件は、ワールドカップ開催地選定や放映権ビジネスでの巨額賄賂が発覚した前代未聞のスキャンダルだ。
ジャック・ワーナー副会長ら複数の幹部が2010年の南アフリカW杯開催国選定に絡み、南ア政府などから賄賂を受け取ったことが発覚。スイスの司法当局により7名の幹部が逮捕され、アメリカ司法省に起訴された。ゼップ・ブラッター会長も同年6月に辞任を表明し、その後倫理委員会から資格停止処分を受けた。
FIFAの腐敗体質が世界に露呈し、組織改革が求められた。現在のジャンニ・インファンティーノ会長は改革を進める一方、収益拡大策として2026年の北中米W杯やクラブW杯の出場枠拡大を推進したが、これも新たな批判を招いている。
サッカー界の金銭トラブルは、クラブ経営の私物化、八百長、税制問題、組織的腐敗と多岐にわたり、ファンや関係者に失望を与えてきた。日本では稀だが、ヤスダグループのケースは透明性と監視が不可欠ということを思い知らされた出来事だった。ファンの立場であっても、サッカーの魅力を守るため、金銭の流れを注視し続ける必要がある。