ただネガティブな感情(悲しさ、怒り、不安など)への影響については、ポジティブな感情ほどはっきりした結果が得られませんでした。

2回の調査のうち、1回目の調査(研究1)では効果が確認されず、2回目の調査(研究2)ではわずかながらネガティブな感情が軽くなる傾向が見られましたが、その効果は小さいものでした。

また、ネガティブ感情については特定の時間帯に特別な変化が見られることもありませんでした。

そのため、カフェインの主な効果は「もともとある程度いい気分をさらに良くする」ことであり、「悪い気分を劇的に良くする」ことではないと考えられます。

また、今回の研究では、カフェインの効果に個人差がほとんどないことも分かりました。

そして、このカフェインの気分への効果については、個人差がほとんどないことも確認されました。

具体的に調べたところ、うつの傾向、不安の傾向、睡眠の質、カフェインにどれくらい依存しているか、普段どれくらいカフェインを摂取しているか、という個人の違いにかかわらず、カフェイン摂取後の気分改善効果はほぼ同じでした。

つまり、性格やメンタル面の違いにあまり関係なく、カフェインを飲んだ後は誰でもほぼ同じようにポジティブな気分が高まったということです。

ただし注意点もあります。

もともとカフェインで不安感や緊張を強く感じる人は、普段からカフェインをあまり摂らないため、今回の調査には参加していない可能性があります。

したがって、カフェインの効果は誰にでも100%同じだと言い切ることはできませんが、一般的な範囲ではかなり多くの人に当てはまる結果だと言えます。

さらに詳しい分析によって、カフェインの効果を左右する状況も見えてきました。

まず、参加者が特に疲れている(眠い)時にカフェインを摂取すると、普段よりもポジティブな気分が強く高まることが分かりました。

一方で、周囲に友達や家族など誰かがいる時にカフェインを摂取すると、その効果は少し弱まりました。