結果として、昆虫は左方向には平均約68度、右方向には平均約83度という鋭い角度で俊敏に旋回しました。
これだけの角度で方向を変えられるということは、狭い隙間や障害物の多い複雑な空間でも、自在に経路を調整しながら探索活動が行えることを意味しています。
また、もうひとつの電気刺激パターンでは昆虫の速度を減速させる試験も行われました。
昆虫が歩いている最中に一定の刺激を与えると、速度が約68%低下しました(つまり通常速度の3分の2程度まで減速しました)。
これは例えば災害現場で何か重要なものを見つけたり、昆虫が停止して周囲を詳しく調査する必要がある際に、遠隔操作で適切に停止や減速をコントロールできることを示しています。
研究チームはさらに、このサイボーグ昆虫が実際の現場で役立つかを検証するため、複数の昆虫を同時に遠隔操作する実験を行いました。
具体的には、4匹のサイボーグ昆虫を複雑な障害物が配置されたテストエリアに投入し、どの程度の面積をカバーできるかを調べました。
その結果、わずか10分31秒の短時間でエリア全体の約80.25%を調査することができました。
これは1匹だけでは15%〜45%程度しか調査できない状況と比較して飛躍的に高いカバー率であり、複数のサイボーグ昆虫を協調的に利用することが非常に効率的な探索活動につながることが実証されました。
さらに研究チームは、サイボーグ昆虫のエネルギー効率を高めるための工夫も取り入れました。
昆虫の体に装着する電子装置(電子バックパック)の設計を見直し、従来モデルよりも25%低い電圧で昆虫を動かすことが可能になりました。
これにより、無駄なエネルギー消費を防ぎつつ安定して昆虫を制御できるため、昆虫への負担も減り、より長時間の稼働が可能になります。
また、今回の制御プロトコルでは、刺激を与える時間も従来比約40%に短縮され、昆虫にかかる負担も電力消費も大幅に削減されています。