また、日常的にカフェインに慣れている人の場合、利尿作用は次第に弱まることもわかっています。そのため、たとえば毎日お茶やコーヒーを飲んでいる人が、夏場にそれらを飲むこと自体は、極端な量でなければ問題ないと考えられています。
そしてもっとも見逃せないのが、心理的な要因です。
私たちは日常生活の中で「まだ大丈夫だろう」「若いから平気」「自分だけは大丈夫」といった思い込みを持ってしまいがちです。また多少しんどい程度なら、いちいち休憩したり、助けを求めてはみんなの迷惑になる、というような意識も熱中症の原因になっていることが、論文でも指摘されています。
このようなメカニズムで熱中症は、あらかじめ予防していないと対処できない部分が多く、僅かな異変に気づいた段階で手遅れになる可能性が高いのです。
こまめな水分補給や、休憩など、自分にはまだ必要ないと思ってもそれを実施していないと思わぬ惨事に陥ってしまうのです。十分に注意しましょう。
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元論文
Heatstroke
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1810762
Exertional heat stroke: pathophysiology and risk factors
https://doi.org/10.1136/bmjmed-2022-000239
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。
編集者
ナゾロジー 編集部