参加者はプロフィールを読んだ後に、自分が最もデートしてみたいと思う相手を1人選びました。
次に創造性のテストが実施されます。
実験2の創造性の測定方法には、心理学でよく使われる「オルタナティブ用途テスト」という課題を用いました。
これは、日常的に使う物(例えば靴、ハンマー、タオル、口紅)に対して、「本来とは異なる面白い使い道」をできるだけたくさん考え出すというものです。
参加者はプロフィールを見る前と後の2回、このテストに挑戦しました。
これにより、「プロフィールを見て相手を選ぶという状況」が、参加者の創造性をどれほど変化させるかを明確に比べることができました。
実験の結果、女性だけに興味深い現象が見られました。
女性参加者は、長期的な関係を望む異性のプロフィールを見て、その相手を選んだ場合、短期的な関係を望む相手を選んだ場合よりも、より多く(流暢性)かつ独創的(ユニーク)なアイデアを考え出す傾向がありました。
これは、女性が進化的に「安定したパートナー」を選ぶ際に、自分自身の魅力を相手に強く印象づけようと創造性を発揮する可能性を示唆しています。
ところが、ここでさらに興味深い事実が明らかになりました。
女性が選んだ相手に対して強い魅力を感じ、性的興奮が高まるほど、「たくさんのアイデアを考える能力」や「アイデアの独自性」が逆に低下してしまったのです。
つまり、相手に強く惹かれすぎて興奮してしまうと、かえって創造性が抑制されるという予想外の結果でした。
その理由として研究者たちは、「性的興奮が高まりすぎると、自由にアイデアを発想するための集中力が失われたり、創造性に必要な注意力が低下する可能性がある」と考えました。
一方、男性の場合には、このようなはっきりとした創造性の変化や性的興奮による抑制効果は確認されませんでした。
男性は、長期的または短期的な交際タイプの違いや、相手への魅力度によって創造性が変化することはありませんでした。