自然に2つの質問が浮かびます。(1) そのような規制によってどの程度のCO2が削減されるのか? (2) そのような規制が気候にどのような影響を及ぼすのか?
最初の質問は、米国における車両由来の二酸化炭素排出量を世界の総排出量と比較することで回答できます。2つ目の質問は、EPAが依拠するモデルによると、地球温暖化防止の効果は世界全体の排出削減量に比例する点を利用することで回答できます。ただし、大気中のCO2濃度の変化は、その年の世界全体のCO2排出量に依存し、米国だけの排出量に依存しない点に注意が必要です。
2022年、米国における自動車と軽トラックのCO2排出量は10.5億トン(EPA 2024)でした。一方、エネルギー使用による世界全体のCO2排出量は346億トン(Energy Institute 2024)でした。したがって、米国における自動車と軽トラックの排出量は、世界全体のエネルギー関連CO2排出量の3.0%に過ぎません。おおまかな見積もりでは、米国におけるすべての車両由来の排出量を完全に削減しても、CO2の大気中への蓄積を100年間でにわたって1~2年遅らせる効果しかないと言えます。 またこれは、全体的な温暖化のトレンドを最大で約3%削減する効果があります。1979年から2023年までの期間(多様な気象データの種類において最も広範な全球的なデータカバー率を有する期間)において、温暖化傾向は±15%の精度で推定されています。したがって、米国車両のCO2排出量を削減することで全球の温暖化速度を低下させる影響は、測定可能な範囲をはるかに下回るものとなります。それでもまだ全球平均気温は気候変動についての最も直接的な指標ですが、米国車両のCO2排出量を削減することで生じる二次的な気候指標(例:極端な気象、洪水、干ばつなど)への影響は、さらに測定困難です。
したがって、粒子状物質やオゾンなどの局所的な大気汚染物質の場合とは対照的に、米国車両の温室効果ガス(GHG)排出量に対する最も厳しい規制措置でも、主張されている米国国民に対する気候変動の危険性を測定可能な規模で軽減することは期待できません。