一方で、種類の違うクジラとイルカがどのように関わるのかは、これまで断片的にしか報告されていませんでした

たとえば、ザトウクジラ(英名:Humpback whale)とバンドウイルカ(英名:Bottlenose dolphin)が一緒に魚を追い込む「共同採餌」や、イルカがクジラを追い回すような例は知られています。しかし、それが偶然なのか、それとも遊びや交流といった積極的な意味を持つのかは分かっていませんでした。

この疑問を確かめるため、グリフィス大学(Griffith University)の研究チームは、近年増えている観光客や市民による海の動画や写真に注目しました。ドローンや水中カメラのおかげで、これまでなら見逃していた行動も鮮明に記録できるようになり、SNSを通じて世界中から共有される時代になっています。

研究チームは、Facebook、Instagram、Flickr、TikTok、X(旧Twitter)、YouTubeを対象に、「クジラとイルカの遊び」や「クジラとイルカが泳ぐ」といったキーワードで検索し、2004年から2024年までの20年間に投稿された動画や写真からクジラとイルカが一緒に映っている場面を集めました

Credit: Meynecke et al., Discover Animals (2025)

集めた投稿は2人の研究者が確認し、どの種類のクジラとイルカなのか、どんな行動をしているのかを分類しました。同じ出来事を別の角度から撮った映像や、判別できない映像を除外すると、最終的に199件の交流イベントを分析対象としました。

行動の記録には、観察した行動を項目ごとに分類して記録する方法が使われました。イルカでは「クジラの頭の前で波に乗る」「並んで泳ぐ」「ジャンプする」「尾びれで水面をたたく」などが分類され、クジラでは「体を回転させる」「腹を見せる」「胸びれを動かす」などが含まれます。