周知のように世界中では1日で25万便~30万便が飛んでいる。加えてロシアによるウクライナ侵略戦争では戦闘機、戦車、ミサイル、軍用トラックなどから膨大な二酸化炭素が排出されているし、各国でも軍の演習や練習に加えて、戦艦や航空母艦や潜水艦などからもまた二酸化炭素排出は野放しである。
節電も持続可能性(サステナビリティ)も聞こえはいいが、地球温暖化の主因を二酸化炭素に求めたまま、旅客機の事例を例外とするような考え方は、あまりにも偽善的ではないか。このような立場で『環境問題の知識社会学』(2012)を刊行したのである。
Amazon「書評」
刊行当時も今も、環境省をはじめとする政府、財界、マスコミ界、学界では「二酸化炭素地球温暖化」論が主流派を形成していたので、本書は黙殺されてきたに等しいが、刊行から12年後の2024年6月23日にAmazon「書評」として、「この人は純粋な人だ。この本が書かれた時代に、これほどの未来の環境意識を持たれていたことに驚く」という感想に出会えた。
時代の動きは着実に起きている。この短評にはもって瞑すべきであろう。出版直後に恩師からは「憂世の書」とのはがきをいただき、大切に保存している。
【参照文献】
Boulding,K.E.,1978,Ecodynamics-A New Theory of Societal Evolution, Sage Publications, Inc.(=1980 長尾史郎訳 『地球社会はどこへ行く』(上下) 講談社). 金子勇,2012,『環境問題の知識社会学』ミネルヴァ書房. 金子勇,2023,『社会資本主義』ミネルヴァ書房. 小松左京編,1974、『地球が冷える異常気象』旭屋出版. Merton,R.K,1957,Social Theory and Social Structure,The Free Press.(=1961 森東吾ほか訳『社会理論と社会構造』みすず書房). 夏目漱石,1990,『草枕』 岩波書店. 根本順吉,1981,『冷えていく地球』角川書店. 根本順吉,1989,『熱くなる地球』ネスコ. The Impact Team, 1977, The Weather Conspiracy, Herson House Publishing Limited.(1983 日下実男訳『気象の陰謀』早川書房).