展示会じゃない、「スタートアップマーケット」の正体
中村氏が特に印象に残っているのが、「スタートアップマーケット」という新たな試みだ。
3日間で出展企業を入れ替え、投資家がリードするツアー形式で巡る――。単なる展示会に見せないための仕掛けが詰まっていた。
「最初はIVSの代表である島川がなにを言っているのか、わからなかった(笑)。でも、結果として“営業っぽくないのに深く話せる場”になっていて、メディアからも評価されました。島川のアイデアが光っていましたね。そして、それを実現したIVS Startup Market Teamもすごい。
最先端のスタートアップが一堂に集い、『なぜ注目を集めているのか?』を投資家が語る。エンタメ性のあるコンセプトにより、IVSらしい『偶然出会い、自然と話すきっかけが生まれるスタートアップ市場』ができたんだと思います」
SNSでは「いかがわしい」「いい意味で狂っている」との表現が話題になったが、それすらも「IVSらしさ」だと中村氏は笑う。
「“狂っている”って、つまり全員が全力でぶつかり合う熱狂のことだと思っていて、日本の他のカンファレンスではあまり見られない光景だと思いますよ。それだけ高い熱量でIVSに参加していただく皆さまに感謝です」
人生を変える“フィルタリング”の場に

中村氏はIVSを「フィルタリングの場」とも語る。特に印象的だったのは、アンケートやSNSでIVS後に寄せられる声だ。
「参加者の中には、同年代や他社のレベルを見て自信を失う人もいます。『自分はまだまだ』と。私もそのひとりですが…でもそれって、遅かれ早かれ、どこかで必ず直面する壁なんですよね。たとえ青い炎に火がついたとしても、むしろIVSがその反骨心の“きっかけ”になるなら、それも価値です」
一方で、事前にサイドイベントを企画して「これをやりたい」と言ってくれる参加者の声は、中村氏にとって最大のモチベーションだ。
「『このサイドイベントで盛り上がりましょう』と我々と同じ熱量でイベントを企画してくれる人がいる。同じ熱量かそれ以上でIVSに関わろうとしてくれる方々に支えてもらってますね」