市場規模と将来展望: AIが拓く「10億アプリ時代」の覇者となるか
Figmaがターゲットとする市場は、ソフトウェアデザインに関わるグローバルな労働人口から算出して、現在330億ドルにのぼると見積もられている。市場調査会社のIDCは、生成AIの進化により、2028年までに世界で10億以上の新しいアプリケーションが生まれると予測しており、デジタル製品を構築するためのプラットフォームとしてのFigmaの重要性はますます高まりそうだ。
月間アクティブユーザーの85%が米国外であるのに対し、収益に占める割合は53%に留まっている。まだまだグローバル全体、特にヨーロッパやアジア太平洋地域においてはマネタイズの伸びしろがありそうだ。大口顧客の比率にも成長の余地がある。
今後の成長戦略の柱の一つがAIへの積極投資だ。プロンプトからプロトタイプを自動生成する「Figma Make」の投入はその第一歩であり、非エンジニアでも簡単にソフトウェアを生成できる世界を目指す。

(画像=「Figma Make」ではプロンプトベースで制作ができる)
もちろん、競争環境は熾烈だ。AdobeはFigmaの買収に失敗したものの、独自のAI機能を強化し猛追している。Canvaのようなより簡易なツールや、特定の機能に特化したスタートアップも次々と登場している。AIがデザインや製品制作そのものをコモディティ化させる可能性もある。
今やデザイン領域にとどまらず、製品開発プロセス全体の民主化を目指すFigmaが今後どのような成長を遂げるのか。引き続き注目したい。
(文=干場健太郎)