ここが刃物を製造する企業と、犯罪に刃物を使う人の関係とは異なる点だ。
Luup社の電動キックボードに当て逃げされた男性は、「世の中を支えるコストを僕たちから搾取して、食べるご飯はおいしいですか」と不満を語っていた。
これほど筋の悪い乗り物と商売を、野に放ったのは政治である。
異例の速さで、電動キックボードにまつわる規制緩和を行なった「モビリティと交通の新時代を創る議員の会(Maas推進議連)」の発起人は以下の通りだ。
逢沢一郎 赤澤亮正 阿達雅志 甘利明 石井正弘 石崎徹 岩井茂樹 石原伸晃 今枝宗一郎 上野宏史 勝俣孝明 神山佐市 城内実 桜田義孝 佐々木紀 菅原一秀 田中和徳 高橋克法 武井俊輔 津島淳 西村明宏 額賀福志郎 平沢勝栄 藤丸敏 細田博之 三ツ矢憲生 宮路拓馬 盛山正仁 八木哲也 山際大志郎 山口泰明 山田美樹 山本有二
そしてロビー活動を行なったのはマカイラ株式会社だった。
また昨年の10月に、Luup社は監査役として元警視総監の樋口建史を迎えた。天下りである。
元警視総監が監査役になり、Luup社の電動キックボードなどシェアリングサービスがまともになったかといえば、前述の通りのお寒い状態のままだ。もし公害企業に「公害対策の徹底についてご指導いただきたい」と環境省や経済産業省のトップが迎えられてもなお、この企業が有害物質を垂れ流し続け、しかも省庁から指導されないままなら癒着と言われてもしかたあるまい。
いま多くの人がやるせない気持ちになっている。
政治、司法、行政の不平等の象徴がLuup社と電動キックボードかもしれない。金とコネを使って政治と司法と行政を丸め込めば、安全や秩序を破壊してもやりたい放題だ。
編集部より:この記事は加藤文宏氏のnote 2025年8月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は加藤文宏氏のnoteをご覧ください。