まず、実験で使われた「光学トラップ」という装置について簡単に説明します。
光学トラップとは、強いレーザー光の焦点を使って、目に見えない小さな原子を“ピンセット”のように捕まえる仕組みです。
このレーザーピンセットを平面上に何千個も並べておくことで、それぞれのトラップの中に一つずつ原子を入れることができます。
ただし、原子は自分の意志で動くわけではなく、どのトラップに入るかは完全にランダムです。
たとえば100個のトラップを用意しても、運が良くても65個程度しか原子が入らないことが多いのです。
つまり、たくさんトラップを用意しても、そのままでは「ところどころ穴があいた」不完全な配列しかできません。
そこで、次に必要なのは「空いている場所に原子をきちんと並び直す」作業です。
ここで活躍するのが高感度カメラとコンピュータです。

まず、カメラで全てのトラップの様子を撮影し、どの場所に原子がいてどこが空席なのかを“地図”のように記録します。