第三に、初めての刺激でも使い続けるうちに慣れて評価が上がるのかという「慣れ」の効果を見極めること。

これらが達成できれば、騒音を出さずに音楽やVR体験の臨場感を高める、新しい家庭向けの選択肢を示せます。

静かなのに重低音の衝撃がズシンとくる体感技術

静かなのに重低音の衝撃がズシンとくる体感技術
静かなのに重低音の衝撃がズシンとくる体感技術 / 図1は、この研究で作られた「EMSサイレントサブウーファー」というシステムの流れを示しています。まず左側には、ライブの映像と音声があります。これがこのシステムに入力される音源です。その音から、まずドラムやベースギターなどをふくむ全体の音の波形(音の形)が取り出されます。 その次に、音の中から重低音だけを取り出す処理が行われます。ここでは、「ローパスフィルター(LPF)」という、低い音だけを通すしくみと、「キック検出器」というドラムの打点を見つける装置が使われます。この2つの仕組みで、低音の打点信号が作られます。 できあがった打点信号は、筋肉に電気で刺激を与えるためのEMS信号に変換されます。そして、図の右側にあるように、お腹に貼った電極パッドから腹部の筋肉に送られます。利用者は、ヘッドマウントディスプレイでライブ映像を見ながら、ヘッドフォンで音を聞き、同時にお腹に「ドンッ」という低音の衝撃を感じます。これによって、実際には周囲に音をほとんど出さずに、まるで会場のスピーカーの前にいるような迫力を体で体験できるのです。Credit:身体で”聴く”静音型ウェアラブル音響で「音のない重低音」体験を実現!

では本当に体で音を「聴ける」のでしょうか?

研究チームは、このEMS静音重低音専用スピーカーが本当に効果的かどうかを確かめるために、VRライブ映像を使ったユニークな実験を行いました。

実験に参加したのは、健康な成人24名です。

まず最初に、それぞれの参加者がEMSの電気刺激をきちんと感じられ、しかも不快にならないように強さを調整しました。