日本のエコシステムに欠けているハードウェア分野

** ——Lenovo for start-upsは、各国で提供されているサービスなのでしょうか? **
いえ、Lenovo for start-upsは日本だけのサービスですね。Lenovo Japan独自のサービスなので、海外展開はしていません。
** ——何か、日本においてハードウェアのサブスクリプションサービスが必要な事情があるのでしょうか? **
Lenovo for start-upsはすべての国のスタートアップ企業にとって有益なサービスだと考えていますし、日本においてだけ必要なサービスであるとは考えていません。 ただ、日本にはスタートアップ支援を行うプロフェッショナルが少なく、コーポレートITやハードウェアについて知識を持ってアドバイスできる人物がかなり限られています。スタートアップ支援者が、支援を本業としている人材ではなく、自身も事業を行う傍らで支援を行っているため、支援が限定的になってしまうのです。 また投資家も、投資の目的が、「技術などを持っているスタートアップとのコネクション」であることが多いため、ハードウェアやセキュリティを含むコーポレートIT周辺の不十分さをあまり問題としないケースが見られます。
** ——海外ではどのような形態でスタートアップ支援が行われているのですか? **
たとえば、アメリカでは「アクセラレーター」と呼ばれるスタートアップ支援のプロフェッショナルが企業に常駐して支援を行います。それぞれの得意分野に特化した集団であることが多いため、当然、ハードウェアを含むコーポレートITに関しての支援に長けている人物もいるのですよね。 投資家も、投資の目的を「企業の成長によるリターン」に置いているため、成長段階におけるコーポレートITの脆弱さがどのようなデメリットをもたらすか理解しています。投資家側にも、コーポレートIT支援のプロフェッショナルを連携する体制が整っているのです。
日本のスタートアップエコシステムにおいて支援が十分ではない部分に対して、Lenovoができることがハードウェアを通じたコーポレートIT周辺での機能やサポートの提供だった、ということが、まず日本においてLenovo for start-upsがスタートするに至ったロジックですね。