それは、ポジティブな未来を描くメッセージを使うことです。
たとえば、「禁煙した人の多くが食事がおいしくなり、肌ツヤが良くなり、家族関係も改善したと報告しています」といった健康メッセージがあります。
また、「再生可能エネルギーは新たな雇用を生み、健康被害を減らし、地域を豊かにします」といった環境の話や、「今から投資を始めれば、将来の自由と安心が手に入ります」といった金融の話もあります。
これらはすべて、得られる利益、つまりゲインにフォーカスしているのが特徴です。
脳は損を避けることよりも得をすることに強く反応する性質があり、予想を上回るポジティブな情報には、より多くのドーパミンが放出される傾向があります。
だからこそ、成功する説得は「恐怖の未来を防ぐ話」ではなく、「素敵な未来を実現する話」になるのです。
それらの要素を実際の場面で適用するための説得テクニックを見てみましょう。
脳にやさしい4つの説得テクニック
実際にどのようにして説得すればいいのかについて、ホフマン博士は脳の仕組みに沿った4つのアプローチを紹介しています。
まず1つ目は、ポジティブな驚きを与えることです。
質問やたとえ話を使って相手の常識に小さな穴を開け、「もっと知りたい」という状態を作りましょう。
たとえば、「朝20分の運動だけで集中力が1.5倍になるって知っていましたか?」といった問いかけです。
2つ目は、パーソナライズすることです。

一般論ではなく、相手の文脈に合わせて話すことが大切です。
たとえば、「みんな運動すべきなんです」と言うのではなく、「週末にもっとお子さんと遊びたいなら、平日の疲れを減らす方法がありますよ」と伝えることで、脳が「これは自分に関係ある」と判断します。
3つ目は、得られる利益を強調することです。
損失を避ける話よりも、具体的にどんな利益が得られるかを提示しましょう。