6. 訓練用テープの悪夢(1979年)

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(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

 1979年11月9日、米軍の4つの核兵器司令部のレーダー画面に、ソ連から大規模な核ミサイルが発射されたことを示すデータが表示された。その後の6分間で爆撃機は発進し、核ミサイルは発射準備に入った。カーター大統領不在のまま、大統領用の空中指揮機も離陸した。

 しかし、どのセンサーも衛星も、実際のミサイル発射を検知していなかった。警報の原因は、ソ連の先制攻撃という悪夢のシナリオを描いた訓練演習用のコンピューターソフトウェアが、誤って本物のシステムに流されたことだった。偶然NORAD本部に居合わせたチャールズ・パーシー上院議員は、その場の反応を「圧倒的なパニックと恐怖」だったと語っている。

7. たった一つの欠陥チップ(1980年)

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 NORADやSACの司令部には、探知された敵の核ミサイルの数を表示するカウンターが設置されていた。通常、その表示は「0000」だ。しかし1980年6月3日の午前2時25分、このカウンターが誤作動を起こし、ソ連から2発のミサイルが発射されたかのような表示を出し始めた。

 再び、核搭載爆撃機のエンジンが始動され、ミニットマンミサイルは発射準備に入った。この誤報からわずか3日後、全く同じ現象が再び発生。緊急対応手順がまたもや開始された。

 最終的に、原因はたった一つの欠陥コンピューターチップと、配線の不具合だったことが判明した。

 これらの事件は、人類の運命が、いかに脆く、予期せぬ形で脅かされていたかを物語っている。それはシステムへの過信と、ほんの些細なエラーが世界を終わらせかねないという歴史からの冷厳な警告なのかもしれない。

参考:Mental Floss、ほか

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