翌10日、スイス日本大使館から米国側にスイス政府を経由して以下の内容が伝えられた。すなわち宣言の第12条「前記の諸目的か達成されて、かつ日本国国民の自由に表明された意思に従って、平和的傾向を持ち責任ある政府が樹立されたならば、連合国の占領軍は直ちに日本国から撤収されるであろう」という文言につき、次のように解釈する前提の下で受け入れる旨、日本側は回答した。(以下は「FRUS」の英語原文の拙訳。太字も筆者)
「日本国政府は、米国、英国および中国の首脳によって、ポツダムにおいて1945年7月26日に発せられ、そして後にソ連政府によって署名された、その共同宣言の中に列挙された前提を、その宣言が、統治者としての天皇陛下の大権を損なういかなる要求も含んでいないと了解して、受け入れる用意がある。」
5)米国からの日本側回答への返答:バーンズ回答(JST8月11日) 日本側はJST12日午前零時45分、米国ラジオ放送によってバーンズ回答の内容を知った(スイス政府から日本政府に送達された時刻は不詳)。が、以下の内容を含むため、軍など徹底抗戦派は拒否を求めた。最終的にここで外務省が歴史的な意訳をしたことで、受け入れ、となった。
「降伏の時点から、天皇および国を治める日本国政府の権限は、降伏条件を適切に実施する義務を有する者として行動する連合国最高司令官に従属する(subject to)。」(略)「日本政府の究極の形態は、ポツダム宣言に従い、日本国民の自由に表明せる意志によって設立される。」
外務次官松本俊一は、この「従属する(subject to)」という部分を「制限の下に置かれる」と意図的に表現を和らげて翻訳し、東郷外相の承認を得て外務省の正式訳文として天皇の裁可を仰いだ。即ち「降伏のときから天皇および日本国政府の国家統治の権限は、降伏条件を実施するため、その必要を認むる措置をとる連合国最高司令官の制限のもとに置かれるものとする。」と。