昨日発売の『潮』9月号で、原武史先生と対談した。病気の前には原さんの団地論をめぐり『史論の復権』で、後には松本清張をテーマにゲンロンカフェで共演して以来、3度目の対話になる。

今回はともに5月に出た、私の『江藤淳と加藤典洋』と原さんの『日本政治思想史』の内容を交錯させながら、いま、江藤と加藤から戦後史をふり返る意味について、考えている。

原さんと加藤さんは、2000~05年にかけて、明治学院大学で同僚だった。学者になる前に、社会人の体験(それも同じ国会図書館)を持つ点も共通する。お二人の交流の秘話も、今回の読みどころなので、ぜひ広く手に取られると嬉しい。

もっとも江藤と加藤はおろか、もう「戦後史」自体どうでもいいよ、という人も多いだろう。でも、待ってほしい。対談では1985年のデビュー作『アメリカの影』に入っている、加藤さんの論考「戦後再見」(初出は前年)に基づいて、プーチンとトランプとネタニヤフの話をした。