しばらく揚げ続けると、泡の量が収まってくるのは、それだけ抜け出る水分量が少なくなっている証拠です。

泡が出るのは水分(水蒸気)が食材や衣から抜けている証拠
泡が出るのは水分(水蒸気)が食材や衣から抜けている証拠 / Credit:Canva

油で揚げると食材の表面や衣の水分がなくなるからこそ、サクッとした触感が得られるのです。

そして表面の水分がなくなり、内部の水分が残っている状態こそが「揚げ物としての完成」であり、外と中の食感や味わいの違いを楽しめます。

逆に言うと、火が通っても長時間食材を揚げ過ぎると、内部の水分まで飛んでパサパサになってしまうので美味しくなくなります。

ここまで考えると、揚げ物を成功させる秘訣は、食材の表面から水蒸気を引き離すことだと分かりますね。

油の中に多量の食材を重ねて入れると上手に揚がらない理由の1つは、水蒸気が邪魔をしているからなのです。

では、宇宙のような微小重力環境でも、揚げ物を上手に揚げることができるのでしょうか?

宇宙でも揚げ物が食べられると判明!

微小重力下で揚げ物ができるか真面目に実験するメンバーたち
微小重力下で揚げ物ができるか真面目に実験するメンバーたち / Credit:Thodoris Karapantsios(Aristotle University of Thessaloniki)_Flying frying in microgravity(2023 ESA)

カラパンシオス氏ら研究チームは、「宇宙では揚げ物を作ることができないかもしれない」と考えました。

なぜなら、地球上では食材から出た水蒸気の泡が浮力によって引き上げられるが、微小重力環境では、水蒸気の泡が食材の表面に付着して、食材全体を蒸気の層で覆ってしまうかもしれないからです。

このように水蒸気が食材から剝がれない場合、水分と油の入れ替わりが起こらず、表面から水分を十分に抜くことができなくなると考えられます。

とはいえ、実際に確かめてみなければ、どうなるか分かりません。

航空機の放物線飛行により、一時的に機内は微小重力環境になる
航空機の放物線飛行により、一時的に機内は微小重力環境になる / Credit:Thodoris Karapantsios(Aristotle University of Thessaloniki)_Flying frying in microgravity(2023 ESA)