また、1975年の別の研究では、何をやっても報われない状況に置かれた動物は、次第に行動を起こさなくなり、うつ状態に陥ることが明らかになりました。
これは人間にも当てはまり、「何もできない」「どうせ無理だ」と感じると、自尊心が損なわれていきます。
だからこそ、人は「少しでも自分が選べるもの」にすがります。
失恋をして心が乱れているときに、クローゼットを整理したり、SNSの写真を削除したりするのは、その象徴です。

「自分には、まだ決められることがある」
その感覚が、人を前に進ませる原動力になるのです。
一方で、こう自問することは重要です。
「自分は自分が立てた予定やルーティンにとらわれすぎていないだろうか」
「自分を守るためのコントロールが、知らぬ間に自分を縛ってはいないだろうか」
コントロールは両刃の剣です。
適切なコントロールは人生を前向きに進める力となりますが、度を越すと私たち自身を縛る「檻」になってしまいます。
ルールに固執しすぎたり、完璧を求めすぎたりすると、柔軟性を失い、他者とのつながりも損なわれます。
「自分を守るはずのコントロール」が、「自分を孤立させる檻」になるのです。
そのため、コントロールをすべて否定するのではなく、それとの付き合い方を理解し、扱い方に柔軟性を持つことが大切です。
では、どうすればコントロールを上手く活用できるでしょうか。
「自分をコントロールする力」を磨く4つのテクニック
では、コントロールを健全に保ち、私たちの味方にするにはどうすれば良いのでしょうか?
シンシア・ベジャー博士は、以下の4つの心理的テクニックを提案しています。
1. 「コントロールできること/できないこと」を仕分ける
