この仕組みは動物の世界ではよく知られていて、異性への気持ちを伝えるフェロモンという匂い物質が重要な役割を果たしています。

ただし注意したいのは、今回見つかった3つの成分をすぐに「人間のフェロモン」だと結論づけることはまだできないということです。

フェロモンとは、そもそも動物が特定の行動や反応を起こすときに使う特別な物質のことです。

研究チームは、この3つの成分が人間にとって本当に「フェロモン」と呼べるほどはっきりした効果があるかどうかについては、さらに詳しい研究が必要だと慎重に考えています。

ただ、これらが人間の行動や気持ちに変化を起こすという点では、「フェロモンのような物質」としての役割を持っている可能性がある、とも指摘しています。

研究で特定された3つの成分は、いずれも人間の体の中で自然に作られるもので、化学的に合成された香料ではありません。

そのため、体に優しく安全に使える可能性があります。

今後は、これらの成分が持つリラックス効果や良い気分にさせる働きを活かして、さまざまな製品に応用できるかもしれません。

例えば、この匂いを取り入れた香水や、リラックス効果を高める商品ができることも考えられます。

また、人間関係を良くするために使われることも期待できます。

もちろん、実際に製品化するためには、安全性をしっかり確認したり、人によって効果に違いがないかを確かめたりする必要があります。

しかし、この研究が明らかにした「匂いが人間関係に与える影響」の大切さは、将来的に多くの新しい発見やアイデアを生み出すきっかけになるでしょう。

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参考文献

女性の排卵期に増加して、男性にポジティブな生理・心理効果を与える体臭成分を特定
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20250729-1.html

元論文

Human ovulatory phase-increasing odors cause positive emotions and stress-suppressive effects in males
https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.113087