しかしながら、年代ごとの「20代の成人形成期(グリーン)」と「30代の成人確立期(ブルー)」を比べても、独身状況や生活全般への満足度に時代的な変化は認められませんでした。

この結果は、2001〜2003年生まれの若者と、それより一昔前に生まれた世代との間に、独り身であることに対する考え方や満足度に大きな違いがあることを示唆しています。

これはゼロ年代生まれの若者たちが、心が発育する敏感な時期に、スマホやノートPC、SNSの普及といった急速な社会変化にさらされており、対面でない多種多様なコミュニケーションがごく自然なものとなっているためか、独り身であることをすんなり受け入れやすくなっている可能性を示しています。

この他にも、現在の若者はYouTubeやサブスク、ゲーム、漫画といった一人で余暇を過ごす方法が充実しているため、パートナーがいなくても寂しくないのかもしれません。

ゼロ年代生まれは「独り身」の満足度が高い
ゼロ年代生まれは「独り身」の満足度が高い / Credit: canva

しかし、こうした年代ごとの全体的な傾向が見つかった一方で、性別や年齢、性格特性などの個人的要因も有意に関与していることがわかりました。

性別や年齢によって「独身の満足度」も変わる?

例えば、男性では年齢が上がるにつれて、独身でいることに対する満足度も下がっていく傾向が見られました。

これは周囲の同年代の人々が徐々に結婚していったり、家族や親戚から結婚を急かされたりと、社会的圧力が高まるからだと予想できます。

しかし反対に、女性は34〜40歳になると、独身であることの満足度が高くなる傾向にあったのです。

研究者はこれについて、女性の初婚と出産の一般的なピーク(いずれも平均30歳)を過ぎていることから、周囲からの結婚への期待値が下がったり、子供を授かることに関して急かされるような社会的圧力が少なくなる点と関係している可能性が高いと述べています。

女性は年齢が上がるごとに独身の満足度が高まる
女性は年齢が上がるごとに独身の満足度が高まる / Credit: canva