彼らも同様のIQテストを受けており、1回目は約5.11歳のときに行われ、2回目は平均5.65年の期間を置いた約10.77歳のときに行われました。

引き離された一卵性双生児のIQを追跡
引き離された一卵性双生児のIQを追跡 / Credit: canva

データ分析の結果、遺伝子がほぼ100%一致している一卵性双生児では、経年ごとに互いのIQが似通ってくることがわかりました。

1つ目の中国の双子ペアでは、1回目のIQスコアの差が平均11.93点だったのに対し、2回目には平均7.93点にまで縮んでいます。

同様に2つ目のデンマークの双子ペアでも同じ傾向が見られ、時間の経過ごとにIQの類似性が増加していました。

しかしこれと対照的に、血縁関係のない仮想双子ペアではまったく違う傾向が見られています。

こちらは逆に時間の経過ごとにIQの類似性が低下していったのです。

1回目のIQスコアの差は平均10.74点だったのに対し、2回目には平均14.12点にまで増加していました。

以上の結果を簡潔にまとめますと、

・一卵性双生児(遺伝子が一致)は、まったく異なる家庭環境で育てられたにも関わらず、時間の経過ごとに互いのIQが似通ってきた

・血縁関係のない仮想双子(異なる遺伝子)は、まったく同じ家庭環境で育てられたにも関わらず、時間の経過ごとに互いのIQの差が開いていた

このことから「知能の決定には遺伝子の影響が強く影響しており、環境の影響は時間を経るごとに弱まっていくことを示唆している」と研究者は説明しました。

知能の決定には「遺伝子」の影響が強く働く?
知能の決定には「遺伝子」の影響が強く働く? / Credit: canva

研究主任のナンシー・L・シーガル(Nancy L. Segal)氏は「若いときこそ、家庭環境が知能に与える影響は大きいようですが、歳をとるにつれて、遺伝的な影響力の方が大きくなるのかもしれません」と述べています。

今回の研究では、個々人の頭のよさには遺伝子が強く影響することが示されました。