それが「双子研究」です。

一卵性双生児は互いの遺伝子がほぼ100%一致しているため、もし生まれたばかりの双子を別々の環境で育てれば、「生まれか育ちか」重要な要因を調べることができます。

とはいえ、そのために一卵性双生児を無理やり引き離して育てるわけにはいきません。

そこで研究者たちは、何らかの事情で出生後に生き別れて、別々の養父母のもとで育てられている一卵性双生児を見つけ出し、その能力差を調べることで遺伝子が人生に与える影響を調査するのです。

双子研究とは、そうした境遇の人々の理解と協力を得て実現しています。

そこで研究チームは今回、出生時に生き別れた一卵性双生児のペアを対象にして、経時的な知能の変化を追跡調査。

それによって、知能の決定には「生まれ(遺伝子)」と「育ち(環境)」のどちらがより強い影響を持つのかを探ってみました。

双子のIQは次第に似てくると判明

本研究には以下の3つの異なる双子グループが含まれていました。

・1つ目:一人っ子政策のために引き離された中国の一卵性双生児15組

・2つ目:家庭の事情のために出生後に引き離されたデンマークの一卵性双生児12組

・3つ目:血縁関係にない、養子として同じ家庭環境で育てられた同学年の兄弟(仮想双子:virtual twin)43組

まず1つ目の中国の双子ペア15組では、期間を置いた異なる時点で2回のIQテストを行っています。

1回目のテストにおける双子の平均年齢は10.69歳で、2回目のテストは平均4.18年後に行われ、双子の平均年齢は13.93歳でした。

2つ目のデンマークの双子ペア12組も同様のテストを実施していますが、こちらの方は双子の平均年齢を高く設定してあります。

1回目のテストにおける双子の平均年齢は51.42歳で、2回目のテストは平均約11.17カ月後に行われました。

そして3つ目の血縁関係のない同年齢の兄弟43組は、互いの出生時期が9カ月以内であり、1歳になるまでに養子となり、同じ学年で育っている義理の兄弟姉妹と定義されています。