先に述べたように「ブラックホールの滝」部分は物体が最後の抵抗ライン「安定した円軌道の最内端(ISCO)」から内側に引き込まれ、ブラックホールに向けて真っ逆さまに落ちていく領域です。

このような滝部分では物体は回転しながら、ほぼ光速に近い速度で落下していくため、発せられる電磁波(光)の多くもブラックホールに吸収されたり、強い重力のせいで波長が引き延ばされて電磁波(光)としてのエネルギーを弱められてしまします。
しかし大量の物体を飲み込んでいる最中には、滝部分から発せられる電磁波(光)の絶対量も増えるため、検出も可能になったのです。
(※飲み込まれる速度は光速に近いものの、依然として光速を超えていないため、そこから発せられる電磁波(光)はブラックホールの外側へ飛び出ることができます)
研究者たちは「新たに発見された「ブラックホールの滝」は、降着円盤に対する理解を一新する」と述べています。
これまでのブラックホールに対する観測や分析は、ブラックホールの滝の存在を無視して行われてきたからです。
また現在開発中のブラックホールを撮影することを目的にしている「アフリカミリ波望遠鏡」を使えば、降着円盤だけの画像ではなく、滝部分を含むブラックホールのよりドラマチックな映像を得られると期待されています。
近い将来、より鮮明なブラックホールの姿が新聞の紙面を賑わせることになるでしょう。
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参考文献
First proof that “plunging regions” exist around black holes in space
https://www.ox.ac.uk/news/2024-05-17-first-proof-plunging-regions-exist-around-black-holes-space