実際、今回の研究が行われている直前に、南米地域で西部馬脳炎ウイルス(WEEV)の新たな流行が発生したことが確認されました。

研究者たちによると、南米のウイルス集団は北米とは遺伝的に異なるとのこと。

人間に例えるなら、北米の西部馬脳炎ウイルス(WEEV)は辞表を出してしばらくおとなしくしていたものの、別人である南米のウイルスが突然入社して、感染を広げている状態と言えるでしょう。

新たに入社した南米ウイルスが、どのような経緯で強い感染力を手に入れたかを突き止められなければ、同じようなパンデミックを止めることはできません。

論文著者のアブラハム氏は「今回の結果は人類に対する警鐘です。起こり得る将来のパンデミックに備えるには、ウイルスの多様性を可能な限り追跡する必要があります」と述べています。

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参考文献

Evolution Tamed Once-Deadly Western Equine Encephalitis. Should We Still Worry?
https://hms.harvard.edu/news/evolution-tamed-once-deadly-western-equine-encephalitis-should-we-still-worry

元論文

Shifts in receptors during submergence of an encephalitic arbovirus
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07740-2

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部