つまり保護者や学校に対し飲料メーカーが「カラダに良いもの」と宣伝することによって、結果的に「カラダに悪い」習慣につながりうる優良誤認を児童らに印象付けていたことがわかる。

これが「健康マーケティング」の問題点だ。

おいしいイオン飲料を楽しむための、ちょっとした配慮

もちろん運動や勉強で疲れを和らげ集中するために甘い飲み物が欲しくなる場面はあるだろうし、子供たちが集まってお菓子パーティーをするのも人間関係の構築で大切だ。

筆者も歯科医師ではあるが、趣味の楽器を練習しながらスポーツドリンクを飲むし、夜中にむしゃくしゃしてポテトチップスをコカコーラで流し込む日もある。

重要なのは、スポーツドリンクやイオン飲料を1日1本かならず摂取するなどといった、習慣化をしないことだ。

習慣的なスポーツドリンクの摂取は糖分塩分過多になって急性の糖尿病症状やむし歯などの疾患につながるだけでなく、食育の観点でも悪影響となる。

そもそもお腹が減っているからこそ子供にとって初めて見るもの、苦手なものでも食べてみようかという気持ちになるのである。スポーツドリンクやイオン飲料をのんで血糖値上昇、満腹中枢が刺激された状態で食卓に向かうのでは、好きなもの以外手を付けず偏食がすすむ。

結果的にゴハンやオカズから得られるはずの栄養素や電解質が不足する食習慣となってしまうと、生涯にわたって栄養バランスに苦しみ肥満や糖尿病の原因になるだけでなく、食事を通じた人間関係構築にも悪影響することとなる。

また最近スポーツドリンクの代替として流行している塩分タブレットも1時間以上の激しい運動をする場合有効だが、食べすぎには注意で十分な冷水とともに摂取する必要がある。

歯科医師の立場としては塩分タブレットに含まれる糖分は厳密にいえばむし歯の原因になるので、健康を重視するのであればむし歯の原因にならないキシリトール製の商品があれば良いのだが、残念ながら主流ではないようだ。