しかし、研究者から「この惑星が危ないんですよ」と説明されると、即座に行動を修正します。
つまり、彼らの問題は“因果推論の失敗”であり、適切な情報が与えられれば学習可能なのです。
3つ目が「Compulsive(固執・強迫観念型)」。
このタイプの人々は、罰を受けてもその原因に気づかず、さらに明示的な説明を受けてもなお、危険な行動を繰り返します。
しかも驚くべきことに、研究チームが参加者に「最も良い戦略は何だと思いますか」と尋ねたところ、彼らはしばしば、それが明らかに間違った選択である場合でも、まさに自分が実践していることを具体的に説明しました。

なぜCompulsiveタイプは行動を変えられないのでしょうか?
研究チームによると、これは「認知と行動の統合の失敗」によるものだとされています。
すなわち、「知っていること」と「実際にやること」を結びつける力が低下しているのです。
これは依存症やギャンブル問題、慢性的な自己破壊的行動と共通する特徴でもあります。
ちなみに、267名のうち、約26%がSensitive型、47%がUnaware型、27%がCompulsive型に分類されました。
そして、この3タイプの分布は、6か月後の再テストでも大きく変化しませんでした。
つまり、罰に対する反応の傾向は単なる気まぐれではなく、「性格に近い安定した特性」である可能性が高いのです。
特にCompulsive型は50歳以上の高齢層に多く、年齢による認知柔軟性の低下とも関係している可能性が示唆されました。
この研究が明らかにしたのは、「罰を与えれば人は学習して行動を変える」という前提がすべての人に当てはまるわけではないという事実です。
社会制度においても、罰金や健康警告、ルール違反への処罰などが「効果的ではない」人たちが一定数存在するのです。