ガソリン税は、すでに一般財源化されており、道路整備だけでなく、社会保障や教育など幅広い行政サービスの財源となっています。
それなのに、なぜクルマのユーザーだけが負担を強いられるのか。
その上、ガソリン税の暫定税率には、もはや課税の大義名分はなく、その廃止の声にも説得力はあるといえます。
とはいえ、地方自治体にとっては、地方揮発油譲与税の減少という直接的な影響に加え、国の財政悪化による地方交付税への間接的な影響も懸念されるのです。
特に財政力の弱い自治体では、限られた財源の中で、住民サービスの低下は避けられないでしょう。
1.5兆円の減税で、どれだけインフレになるのかはわからない。
だけど、ガソリン税の暫定税率のような、もはやなぜ課税されているのかわからないものでも、なくなると、直接的、間接的に、我らの生活にも影響は出てきます。
つまり、どの税金であっても減税は、我らに恩恵をもたらすだけではなく、別の負担増や不便を我慢することも求めて来るということです。
税金の全てを政治家や官僚が無駄に使っているわけではないのですから。
2040年には年間190兆円に達すると言われる社会保障費。その桁違いの金額を賄うためには、消費税の増税や社会保険料の増額は避けられません。
その負担増を可能な限り減らすためには、社会保障給付の削減に手を付けざるを得ないのですが、そのインパクトは、ガソリン税の暫定税率廃止のどころではない、大きなものになることを覚悟しないといけないでしょう。
編集部より:この記事は、税理士の吉澤大氏のブログ「あなたのファイナンス用心棒」(2025年7月29日エントリー)より転載させていただきました。