このガソリン税は、自動車取得税や自動車税と合わせて、道路整備を緊急かつ計画的に行うための「道路特定財源」とされていました。

要するに、クルマを使う人のために、道路はあるのだから、その整備のためのコストもそのクルマを利用する人が負担するというものだったのです。

暫定措置のはずなのに、もはや恒久的な課税が

暫定税率は、1974年の第一次石油危機を契機に導入された「暫定的な」税率の上乗せ措置です。

当初は、期限付きで導入されました。

しかし、「暫定」という名前とは裏腹に、この措置は延長に次ぐ延長を重ね、実に50年以上も続いています。

この上乗せ分である25.1円の暫定税率は、全国平均のガソリンの小売価格が1リットル当たり160円を3か月連続で超えた場合、自動的に課税されなくなる「トリガー条項」というものがあります。

しかし、2011年の東日本大震災のあと、復興財源を確保するためとして、以来この「トリガー条項」は凍結されたままなのです。

一般財源化の意味するところ

道路特定財源の一般財源化は、2009年に当時の民主党政権下で「コンクリートから人へ」というスローガンのもと実施されました。

これにより、ガソリン税収は道路整備という使途の縛りから解放され、より柔軟な財政運営が可能になりました。

現在のガソリン税収は道路整備に限定されず、社会保障、教育、防衛など、あらゆる行政サービスの財源として使われているのです。

かつては「道路を使う人が道路整備費を負担する」という明確な理屈がありましたが、一般財源化後のガソリン税については「なぜクルマのユーザーだけがその負担を強いられるのか」という根拠が不明確になったとも言えます。

社会資本は人間と同様、急速に老朽化している

一方で、我が国の社会資本ストックは高度経済成長期に集中的に整備されたため、今後一気に老朽化することが懸念されています。

2023年の時点で、道路・橋の約37%が建築後50年を経過しています。