なぜ、これほど何度も似たようなことが繰り返されるのか?――その答えは、「次世代型地熱推進官民協議会」の構成メンバーを見れば、おのずと想像がつく。

そこには、大学の研究者、NEDOなどの国の研究機関、重電メーカー、大手ゼネコン、電力会社、ガス会社といった面々が名を連ねている。実証検証や掘削工事が行われれば、多くの仕事にありつけそうな企業・団体が揃っているのだ。

彼らにとって、次世代地熱発電が本当に低コストで実用化できるのか、日本の将来や環境に貢献するのか、といった問いは、もはや重要ではない。むしろ関心は、プロジェクトが始まればどれだけの予算がつき、自社がどれだけの受注を得られるかにある。

当然、「過去にも同様の検証を行いましたが、その後の技術進歩を考慮しても大きな変化は見込めません」といった率直な指摘が会議の場で出てくることはない。その代わりに出てくるのは、「最大48兆円の市場が期待されている。ぜひ実機での検証工事を進めるべきだ。機会があれば、当社にも一部発注いただきたい」といった営業的な発言である。

この構造こそが、過去に幾度も繰り返され、結果の出ない「次世代地熱開発」が再び動き出す理由である。そして、それはこれからも変わらないだろう。

波力発電も繰り返されてきた“利権型”失敗モデル

次世代地熱発電とよく似たものに、波力発電がある。波力発電とは、海の波の上下動によってタービンを回し、電力を生み出すという仕組みだ。これも1980年代から繰り返し検証試験が行われてきたが、いずれも実用化には至っていない。その理由は、次世代地熱発電と同様である――発電にかかるコストがあまりにも高すぎるのだ。

波力発電には他にも、波の高さや周期により発電量が安定しない、装置の耐久性に課題があるといった問題もある。しかし、最大の障害は一貫してコストである。にもかかわらず、「脱炭素」や「再生可能エネルギー」「クリーンエネルギー」といった旗印のもと、これまで何度も検証実験が繰り返されてきた。そして、そこには毎回、利権に群がる構成員たちの姿がある。