スキル資格を取ったら、持っていない人ができない仕事ができるようになるわけですから、有利なことばかりじゃないかと思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。

資格を取ったら収入が落ちた?

なぜ、スキル資格を持った人が失敗してしまうのか。人より何倍もの努力をして、勉強をして資格を取ったのに、なぜ収入が逆に落ちてしまうことがあるのか?

それは「スキル資格の悪しき専業理想主義」が原因です。どういうことかというと、「スキル資格を取ったら、それ専業でいなければいけない。他のことをするのは邪道」という考え方があるからです。

たとえば、テレビでコメンテーターを務める弁護士を見れば、「あいつはもう弁護士じゃない。タレントだ」などと批判されることがあるでしょう。私も行政書士ですが、出版やセミナー、スクール運営などをしていると、「行政書士以外の仕事をするべきじゃない」とか、「あいつはもう行政書士ではない」などと言われることが、過去にはずいぶんありました。

最近は業界内でも専業であるべきという意見は少なくなりましたが、特に地方で開業する場合は先輩士業からの”アドバイス”があるかもしれませんので、あなたが悪しき慣習に巻き込まれてしまわないよう、典型的な2つの失敗パターンを具体的に見てみましょう。

「スキル資格の悪しき専業理想主義」がもたらす失敗パターン

スキル資格を取ることで間違えてしまうのが、自分の過去のキャリアを無視してしまうことです。たとえば行政書士では、開業した多くの人が「行政書士としてこういう業務を扱っていきたいです」という言い方をします。

もちろんそれはかまわないのですが、ひとつうかがいたくなることがあります。それは「行政書士になる前って何をされていたんですか」という質問です。

この質問をすると、SEをやっていたとか、教員をやっていたとか、さまざまなキャリアが答えとして返ってきます。そう、多くの人は資格以外の要素のほうが、本来は多いはずなのです。