発酵とは、ヨーグルトや味噌の製造に使われる方法で、微生物の働きによって食品の成分を変化させ、新しい有効成分を作り出すプロセスのことです。
この方法を植物エキスに応用すると、微生物が持つ酵素の働きによって、植物中の化合物が別の化合物へと変化します。
その結果、もともとの植物エキスにはなかった新しい物質が生まれ、健康や治療に役立つ強力な作用を持つ可能性があります。
研究チームはこれまでに1,300株以上の乳酸菌(ヨーグルトなどにも含まれる健康的な微生物)を果物や野菜、花などから見つけ出してきました。
その中から特に有望だと考えられたのが、バナナの葉に生息していた「ラクトバチルス・プランタルムSN13T株」と呼ばれる乳酸菌です。
このSN13T株を使ってステビア葉エキスを発酵させることで、本当にステビアの持つ抗がん作用を高められるのか、また抗がん作用を持つ新たな成分を作り出せるのかを確かめることが、今回の研究の目的となりました。
「ステビア葉+乳酸菌」が生んだ驚異の『がんキラー』

ステビアの発効で抗がん作用を高められるのか?
答えを得るため研究チームはまず、ステビアの乾燥葉から抽出液(ステビア葉エキス)を調製しました。
このエキスには、甘さをもたらす成分(ステビオール配糖体)や抗酸化作用を持つ成分など、ステビア本来の有効成分が豊富に含まれています。
この抽出液を2つに分け、一方を先述の乳酸菌(SN13T株)で一定の条件下で発酵させ、「発酵ステビア葉エキス(FSLE)」を作りました。
もう一方は発酵させずにそのままの状態(未発酵ステビア葉エキス:SLE)で、比較のために使います。
次に、この2種類のエキス(発酵したエキスと未発酵のエキス)を、それぞれ2種類のヒト由来の細胞を使って詳しく調べました。
その一つは膵臓がんの細胞(PANC-1細胞)、もう一つは正常な腎臓の細胞(HEK-293細胞)です。