そこで「賭け」についてであるが、彼女がやりたいことをやるためには、他党に票が流れた主な原因についての高市流解決策を提示し、その中のこれだけはマストという解決策に反対な人は自分に投票しないでほしい、と訴えて自民党国会議員に踏み絵を踏ませる、ということである。

これが「賭け」である。「反対なら私に投票するな」である。「賭け」の大きなリスクは2つあり、この「賭け」ができなければ、いかに多くの自民党議員からラブコールがあろうとも今回は出馬せず、時を待つべきである。

さて、賭けのリスクのひとつは、これをやると、自民党国会議員の多くにさらに嫌われるだろうということである。ひょっとしたら、このやり方では推薦人すら得られないかもしれないし、立候補できても前回のように国会議員票で落選するかもしれない。

しかし、それならそれで、党員に高市さんの覚悟を示すことにもなり、彼女の党員による支持は確固たるものになるだろうから、彼女にとって損ではないはずである。しかも、いったん嫌われても総裁・総理になり、党勢を回復出来れば、その後は重鎮を含めた国会議員はついてこざるを得なくなることは間違いなく、対外的にも自民党がまとまっている印象を与えられるだろう。

総裁選後に踏み絵なんて知らないという議員もでるだろうが、それで改革がひっくり返されれば自民党がつぶれる。おそらく自民党重鎮はそこまではやらせないであろうし、総理になっていれば解散し国民の前で踏み絵を踏ませるという手もある。

リスクその2は、こうすることでかなり話題になるので、実際の当選の可能性に危険を感じたマスコミの格好の餌食になり、さまざまな場面で「高市憎し」の報道が想定される、ということである(少なくとも先の総裁選で、すでにマスコミはかなり口汚く高市さんの保守性を批判していたが、今回はもっと酷いだろう)。それに負ければ国民の期待を失う可能性もある。ある程度の自民党支持者が、反保守で党を離れるかもしれないことを覚悟できるか、ということである。