しかし、その場合でも理系出身の男性は、自身の経験から「あんなとこ男子ばっかだぞ」という意見を持ちやすいので、自然と理系に女子はいないんだという印象を植え付けてしまう可能性はありそうです。
③能力が高ければよいという価値観
一見関係なさそうに見えますが、「競争に負けた人が幸せになれないのは仕方ない」という業績主義的価値観も女子の理系意識に関連しています。
男子は業績主義を持っていても理系意識の有無とは関係がありません。
しかし、女子の場合業績主義を持たない人ほど理系意識を持ちづらい傾向が見られました。
女性の理系進出を増やすために必要なのは大学の女性枠?
今回紹介した論文から、女性が理系科目に対して苦手意識を持つのは小学校高学年からであり、そこには「女性は理系科目が苦手だ」というジェンダーバイアス、父親との会話の頻度、業績主義的価値観(結果を残すことがよいとする価値観)が関連することが分かりました。
そのため、理系に進学する女子を増やすためには、女子の算数への苦手意識やジェンダーバイアスを解消するような働きかけが必要と考えられます。
また、すぐに解を得るための学習ではなく、じっくりと解法を考えるような教育をすることで、業績主義的価値観を持たない子も「算数はおもしろい」と新しい魅力を感じられるようになるでしょう。
親から引き継がれる価値観も、女子の理系意識に強い影響を与えていると考えられるため、親が「女の子は文系でいいんじゃない」といった決めつけで進路に意見を出さないことが重要でしょう。
おそらくほとんどの人が「女性は理系が苦手」という今回の記事のテーマを見て、自然と「確かに、なんでだろう? 脳の作りが違うのかな?」という予想を思い浮かべたのではないでしょうか?
しかし実際調べてみると、女性が理数系を苦手とするような証拠はなく、ただの印象であることが示されています。この印象が継承されていった結果が現在の「女子は理系科目が苦手」の正体なのでしょう。