逆に男子においては、「算数や理科は男子の方が向いている」と考えている人のほうが理系意識を持っています。
先行研究によると、これは男女ともに自身の能力を低く見られるのは避けたいと考える傾向にあることが要因とされています。
理系科目が苦手な女子は、この考えを支持することにより、「能力が低いのは自分のせいではなく、性別のせいである」と受け入れやすくなるのです。
逆に理系科目が苦手な男子は「男子なのに理系科目ができないのは能力が低い」という批判を避けるために、「男子は女子よりも理系科目が得意」という考え方を否定するようになります。
今回の調査でば、「上手な勉強の仕方が分からない」と学習に対して不安が大きい女子ほど、理系意識を持ちにくい結果も出ており、女子は「算数が苦手→女子だから頑張ってもできない」と負のスパイラルに陥りやすいことが示唆されています。
②父親との接触頻度
異性がいない学校よりも、男女半数ずつの学校のほうが、女子が理系科目に苦手意識を持ちやすくなるといわれています。
近くにいる男性の存在が女子の理系意識に影響するのだとするなら、女子にとって一番身近な存在である父親との接触頻度は理系意識と関連するのでしょうか?
この疑問を調査した結果、女子は父親との会話頻度が高いほど理系意識を持ちづらくなることが分かりました。
男子は父親との会話頻度が理系意識に影響することはなく、これは女子特有のことです。
この理由について、研究者は「父親との会話は女子にとって、ジェンダーを意識する機会になりやすく、その中で理系は男子向けという意識が高まってしまい、理系を自分からは縁遠いものに感じてしまうのではないか」と考察しています。
これは「別に女の子が無理して理系に行かなくてもいいだろう」という意見を持つ父親が、世の中に多いことを示しているのでしょう。
ただ理系に進んだ女性の中には、父親が理系だったからその影響で同じ道に進んだという人もいるかもしれません。