日本は男女ともにOECD中1位の数学スコアを持っています。
さらに、日本人女子の数学スコアは531.1と、2位の韓国人男子529.7よりも高い結果となっています。
日本人女子の数学スコアが著しく低いのであれば、女性が理系に進まないのは能力が関係しているといえますが、能力的には問題ないといえます。
また、諸外国でも理系は男性のほうが多い状況ですが、男女間でスコアにそこまで大きな差があるわけではありません。
このことから、理系における男女比に偏りが出るのは、能力的な問題とは別の部分に要因があると考えられます。
大正大学の日下田准教授は、女子が「自分は理系である」と思えないのは、小学校高学年における環境が大きいのではないかと指摘します。
女子の理系への苦手意識は環境が左右する

日下田准教授は「自分は理系であると認識すること」を「理系意識を持つ」と表現しています。
同准教授の論文によると、小学校5~6年生になると女子が理系意識を持ちにくくなり、男女に差があらわれるとしています。
実際に、全国の小学生を幅広く対象とした調査では、小学校5、6年生で理系意識を持つ児童は、男子60.0%に対し、女子は37.7%とすでに差が出ていました。
この男女差は高校までずっと逆転することがなく、常に男子よりも女子のほうが理系意識を持てない状態が続きます。
論文では、なぜ「女子が理系意識を持てない」のか、従来のジェンダー研究をもとに、次の3つの観点で検証が行われました。
- 女性は算数が苦手だという思い込み
- 父親との接触頻度
- 能力が高ければよいという価値観
それぞれどのような結果となったのか紹介します。
①女性は算数が苦手だという思い込み
調査によると、女子では、「算数や理科は男子の方が向いている」と考えている人ほど理系意識を持ちにくい結果となりました。