その結果アンドロメダ星雲はおよそ90万光年の彼方にあるとわかったのです。

天の川銀河の直径はおよそ10万光年です。これはアンドロメダ星雲が天の川銀河の外、はるか彼方に存在することを示していました。

そして、そんな遠い天体が雲のように見えるということは、それがガスや塵の雲ではなく、無数の星々が集まって輝く別の銀河であることを意味しています

発見の翌年ハッブルはこの事実をアメリカ天文学会へ報告し、天の川銀河が宇宙で唯一の銀河なのか? その外にも銀河が無数に浮かんでいるのかという宇宙の構造に関する長い論争に決着をつけたのです。

1924年のことでした。

こうして1771年にメシエによってカタログの31番目の星雲として記録されていた天体アンドロメダが、実は銀河だったということが明らかになったのです。

こんな長い経緯があったため、今でもメシエカタログに記録された天体は銀河なのに星雲と呼ばれることがあります

今では、メシエカタログに記録された多くの星雲が、実は銀河であったことが分かっています。その一覧はNASAのページで見ることができます。

天文学の歴史に思いを馳せながらメシエカタログの天体を眺めてみると、今までと違ったロマンを感じられるかもしれません。

ちなみにウルトラマンの故郷M78星雲は本当にただの星雲です。しかし、これは台本の印刷ミスだったと言われていて、本当の設定ではウルトラマンの故郷はM87星雲なのだそうです。

M87星雲は、私たち天の川銀河も含めた100以上の銀河が集まる「おとめ座超銀河団」の中心となる楕円銀河です。

こっちのほうが確かにウルトラマンの故郷に相応しい感じがしますね。この勘違いも、銀河のことを慣習的に星雲と呼んでしまっていたことが問題だったのかもしれません。

宇宙の距離の測り方~三角法からバリオン音響振動まで~

この記事は2020年12月掲載の記事を、加筆修正して再掲載しているものです。