鈴鹿8耐――それは、世界中のトップライダーとワークスチームが集う、バイク耐久レースの最高峰です。その過酷な舞台に、プロでも有名人でもない、“普通の人”が挑んでいることをご存じでしょうか?「DOG HOUSE & TRIPOINT FUCHS Silkolene」チームのライダー3人は、自営業者、製造業の技能職、そしてSEという異なる職業を持ちながら、平日は働き、週末にバイクに乗る生活を続けています。そんな彼らが、バイク好きの仲間たちとともに、世界を相手に戦っています。

DOG HOUSE & TRIPOINT FUCHS Silkolene ライダー
個人がどうやって8耐に出場しているのか

鈴鹿8耐に出場するには、ただバイクが好きなだけでは足りません。
まず必要なのは、国際ライセンスの取得、マシンや装備の準備、そして継続的なレース活動です。

たとえば、岩谷さんと左村さんは鈴鹿サンデーロードレースから4耐に挑戦することでステップアップの道を切り開きました。
国際ライセンスは、ローカルレースへの継続的な参加が必要で、対象レースでポイントを積み重ねることで取得できます。

大須賀さんは、2006年にミニバイク耐久で予備選落ちを経験しながらも、10年以上かけて国際ライセンスを取得しました。「速い人のようには上がれなかったけれど、ちゃんとやれば上がれたことが自信に繋がった」と語ります。

DOG HOUSE&TRIPOINT FUCHS Silkolene

また、出場には資金面の準備も欠かせません。
エントリー費用、テスト走行費、タイヤ代、装備の新調など、1レースで数十万円単位の出費が発生します。
それでも彼らは、仕事と両立しながら、時間とお金をやりくりして挑戦を続けています。

バイクがつなぐ、人とのつながり

ライダー達は3人ともなにか劇的な出来事から8耐という舞台に上がったのではなく、バイク好きが転じた人とのつながりでここまで辿り着いています。

岩谷さんは、サーキットやショップで出会った仲間たちに支えられながら、装備や情報を揃えてきました。

左村さんは「サーキットは社会の縮図。敵を作る人は続けられない」と語り、信頼関係の大切さを実感しています。
一度8耐に出場すると、自然と人とのつながりが広がっていくのだそうです。

大須賀さんもまた、バイクを通じて多くの仲間と出会い、「ライダーとして知ってもらえることが自信になる」と話します。

このチームには、ピット作業を担うメンバー、生活を支えるヘルパー、整備を手伝うメカニックなど、20人近い人たちが関わっています。
それぞれが自分の役割を果たし、チームの夢を支えているのです。

つまり、個人が8耐に出場するには、「走りたい」という強い意思と、行動し続ける勇気、そして人との縁を大切にする姿勢が必要なのです。

DOG HOUSE&TRIPOINT FUCHS Silkolene
“個人”が集まって“チーム”になるまで