一方、失望状態のウマでは、瞬きが増加する、鼻孔が上がる、舌を出す、咀嚼行動が増える、などの傾向が見られ、給餌器を噛むのではなく、舐めることが多かったようです。
さらにチームは、オスよりもメスの方が失望状態で瞬きが多い、という性差を発見することもできました。
失望もイライラも同じくネガティブな感情ですが、ウマの表情にははっきりと違いが表れていたのです。
ちなみに、今回の研究にはいくつかの限界があります。
まず、ウマがエサを待っている10秒間で感じているはずの「期待」は、ウマの表情から見分けることができませんでした。
そもそも馬の期待は表情に表れにくいのか、それともウマが抱く「食べ物に対する期待」がそこまで大きくなかったのか、謎のままです。

さらに今回の実験で得られた感情(イライラ・失望)と表情の関連性は、給餌にのみ適用されるかもしれません。
給餌以外の別の状況では実験を行っていないので、「同じ感情でも場面によって表情が異なるのか否か」はまだ知ることができていません。
今回の結果でも、確かにイライラしたから箱を舐めると考えるよりは、餌への未練で舐めていると考えるほうが自然かもしれません。
とはいえ今回の実験から、ウマにも心理状態の微妙な違いがあり、人間でも表情で判別できることが一部示されました。
今後研究を続けていくことで、ウマが嫌がることや恐れていることをより正確に理解できるようになるでしょう。
そうすることでウマの精神的な健康をサポートし、騎手の安全を損なう状況を回避するのに役立てていけるはずです。
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参考文献
Straight from the horse’s mouth: Researchers find horses have distinct facial expressions when they feel disappointed or frustrated after keeping food from them
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-12179915/Researchers-horses-distinct-facial-expressions-feel-disappointed-frustrated.html