ウマが「変顔」と言えるほど豊かな表情を見せたとしても、それらがどんな感情を意味するのか正しく理解していなければ、ウマの管理に役立てるのは難しいのです。

しかも感情を汲み取るための重要な要素が、「人間から見た大きな変化」だとは限りません。
口や耳などのわずかな動きがウマの心理状態をよく表している場合もあるでしょう。
実際、リッチ・ボノット氏によると、「ウマは社交的な動物であり、微妙な視覚信号で仲間とコミュニケーションをとれる」ようです。
そして、「ウマの表情に関する人間の理解の多くは科学的根拠に基づいておらず、ほとんどの場合、誤解されていたり、見落とされていたりする」のです。
そこで、リッチ・ボノット氏ら研究チームは、ウマの表情から、期待・イライラ・失望を正しく理解するために「エサのおあずけ実験」を行いました。
ウマの「イライラ」や「失望」と関連する独特のサインを発見

この実験には、31頭のオスとメスのウマ(2~23歳)が参加し、透明パネルと不透明パネルが備わった特殊な給餌器が用いられました。
まず、ウマが見守っている中、透明パネルで蓋をされた給餌器(餌箱)に餌が注がれます。
そして10秒後に透明なパネルの蓋が取り除かれ、ウマが餌を食べられるようになります。
