守備陣では、日本代表として国際経験も豊富なGK川島永嗣がゴールマウスを守り、チームに安定感をもたらしている。さらに、夏の移籍市場ではMFグスタボ・シルバ、MF井上潮音、FWポラメート・アーウィライを補強。攻守にわたって戦力の底上げを図り、J1昇格に向けた強い意志がうかがえる。

今後のカギは、守備組織の再整備と試合運びの安定にある。個の力だけでなく、組織としていかに粘り強く戦えるかが問われる。ベテランの経験と若手の勢いを融合させ、過酷な夏場を乗り越えることができれば、J1昇格への道は大きく開けてくるはずだ。


V・ファーレン長崎 写真:Getty Images

V・ファーレン長崎

悲願のJ1へ、圧倒的な攻撃力で挑む

昨2024シーズン、J1昇格プレーオフで涙を飲んだ長崎。今季は自動昇格、さらにはJ2リーグ優勝を目指し、下平隆宏監督体制2年目をスタートさせた。

ボールを保持し主導権を握るスタイルが完全に浸透し、リーグ最多の得点数(39得点)を誇る攻撃力は、他クラブにとって大きな脅威となっている。中でも、FWフアンマ・デルガドとFWエジガル・ジュニオの2トップは高さと決定力を兼ね備え、シンプルなクロスからでもゴールを脅かす存在だ。加えて、中盤の司令塔MFマテウス・ジェズス、ドリブル突破が武器のMFマルコス・ギリェルメなど、J2の水準を超えるタレントが揃う。

しかし、昇格争い本命として研究され尽くす中、前半戦では想定外の取りこぼしも多く、6月に下平監督は解任。後任として、クラブOBで元日本代表FWでもある高木琢也氏が、クラブCRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)職から7年ぶりに監督に復帰した。高木監督は2013〜2018年に長崎を率い、2017年にはクラブ初のJ1昇格を成し遂げた実績を持つ。

今回の監督交代は、クラブが昇格へのラストスパートを見据えた決断といえるが、鍵となるのはやはり選手層の厚みと主力のコンディション管理だ。攻撃力に秀でる反面、前がかりな戦い方が裏目に出てカウンターから失点を喫する試合もあり、試合運びや守備面での安定感が問われる。