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「同僚から嫌がらせを受けている」「性格が強い同僚につらい仕事をいつも押しつけられる」こうした声は多くの職場で聞かれます。
相手が上司であればパワハラとして訴えることもしやすいでしょう。しかし、パワハラの成立には「優位性を背景にした言動」という要件があり、同僚同士の場合はその判断が難しいのが現実です。
この記事では、どんな場合に同僚間でも優位性があると認められ、パワハラにあたるとされるのか、また、パワハラとまではいえないケースで会社がどのような対応をすべきかについて、社会保険労務士として解説します。
※なお、パワハラの要件としては他に「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」「労働者の就業環境を害する」があります。ここではこれらの要件には該当している前提で、優位性にフォーカスして考えます。
同僚間で優位性が認められるケース
パワハラの要件にある優位性とは、単なる職務上の地位だけでなく、職場におけるさまざまな力関係を含みます。つまり、上司と部下だけでなく、同僚間でも優位性が認められる場合があるのです。それは主に次のようなパターンです。
業務上の知識や経験、スキルの差業務遂行に必要な知識や経験、スキルを持つ同僚が、その立場を利用して他の同僚に対し不利益を与える場合、優位性が認められます。
たとえば、業務を進める上で不可欠な情報やノウハウを持つ同僚が、意図的に情報提供を遅らせたり、必要な資料を渡さないことで相手を孤立させるケースです。
集団と個人複数人の同僚が結託し、特定の同僚を排除したり無視したりする場合、集団側に優位性が認められます。
たとえば、グループで特定の同僚をLINEグループから外す、会議や飲み会から排除する、日常的に無視や悪口を言うなどの行為です。
集団による圧力は、個人が抵抗や拒絶をしにくい状況を生み出し、明確な力関係を作ります。
勤続年数や社歴、社内での影響力の差同じ職位であっても、勤続年数が長い、または社内での影響力が強い同僚が、新人や異動してきたばかりの同僚に対して圧力をかけたり、業務上不利な扱いをする場合も優位性が認められることがあります。