このように、響きの特徴から各言語の形成された環境を推測することは興味深い新たな研究領域となりそうです。

さらに今回の研究結果は、未来の言語についても考えさせるものです。

近年、世界中で地球温暖化により気温が上昇していますが、この気候変動が将来的に人間の言語に影響を与えることになるのでしょうか。

もし気温が上昇し続ければ、人類の言語はさらに響きが豊かなものへと変化していく可能性もあります。

とはいえ、こうした言語の変化が現実に起きるには何世紀、あるいは数千年もの長い年月がかかると考えられます。

そのため、私たち自身がそのような言語の変化を直接観察できる機会はないかもしれませんが、それでも言語が長期的に気候と密接に関連している可能性があるという考え方は、私たちに大きな驚きと興味をもたらします。

言語というものは、単なるコミュニケーションの道具を超えて、私たちが住む環境や歴史と深く結びついているのかもしれません。

そして今回の研究は、言語進化という視点から人類と環境の関係を捉え直す大きなきっかけを提供したと言えるでしょう。

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元論文

Temperature shapes language sonority: Revalidation from a large dataset
https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgad384

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部