岸田首相も24年4月、バイデン大統領との会談を前に「(買収は)首脳会談で扱われるものではないと距離を置く姿勢を鮮明にした。
この記事を読んで筆者は、官僚や政治家はここまで浮世離れしているか、と落胆した。米国はバイデンが早々と反対を表明し、トランプもそれに追随していた。相手の政府が口出ししているのに、「日鉄が日本政府と結託して」何が悪いのか。むしろ、日本政府と日鉄が一体となってこの問題を進めていることを、強くアピールすべきではないのか。
経産官僚も岸田官邸も、このディールの本質への理解が足りなかったのではなかったか。つまり、日鉄によるUSS買収が、米国にどれほど大きな恩恵をもたらすのか、ということに対する理解、というより「確信」を持っていなかったのではないか、という疑念が筆者にはある。が、幸いにも民間企業の日鉄はその「確信」に満ちていた。そしてディールは成った。
筆者はトランプが実業家出身であったことが大きいと思う。「黄金株」も日鉄からの提案だった。一旦取り込んでしまえば、米政府が下手に「黄金株」を使うと新USSのためにならない場合があることをトランプも熟知し、それを橋本日鉄会長も見切った上でのことと思う。日鉄といいトヨタといい、超一流の日本企業の頭脳は素晴らしい。
関税交渉に係る米国の布陣を見れば、トランプ大統領以下、ベッセント財務長官もラトニック商務長官も、ついこの間まで民間で巨万の富を築いていた実業家だ。そういう人物らを相手に、石破氏や官僚上がりの赤沢氏が太刀打ちできるはずがない。だから、当初から「安保」と「USS買収」を切り離す、などという「あんぽんたん」をやってしまう。
自民党は明日(22日)にでも両院議員総会を開き、石破氏を降ろして総裁選を行い、高市総裁を中心に、萩生田・西村・世耕の旧安倍派三人衆、交渉力のある茂木氏、若手のコバホークなどを加えた挙党体制を築くべきだ。その上で、これに国民と公明、望むなら維新の一部や参政を加え、憲法改正と皇統の永続を柱に据えた挙国一致の保守内閣を作るのだ。さもないと、石破自民と共に日本が壊れる。