捨てられたゴミたちは時間をかけて環境を循環し、生物の体に取り込まれ、やがて再び人間の口に入ることになるからです。
ゴミ箱に捨てたと思っていたら口に入ってた……それが地球で生きる者の宿命です。
プラスチックを“美味しい”と感じる動物――人間社会への警鐘

マイクロプラスチックに対する“味覚の学習”──この現象が生態系にもたらす影響は計り知れません。
まず、汚染餌を好むようになった動物本人(個体)にとって大きなリスクです。
本来なら栄養豊富な餌を食べるところを、プラスチックだらけのいわば「ジャンクフード」に頼る食生活に陥れば、栄養不良や発育不全を招く可能性があります。
事実、サンゴの実験では、プラスチック摂食による栄養不足や組織損傷が確認され、長期的には生存率の低下につながる恐れが示されています。
魚の場合も、プラスチック片で胃が埋まれば満腹感で餌をとらず餓死のリスクがあります。
また一部の研究では、プラスチック由来化学物質に引き寄せられる甲殻類の行動変化が観察されており、生理的または神経行動への影響が示唆されています。
こうした変化は生態系全体にも波及しかねません。
ある種が大量のプラスチックを食べて弱れば、その種を餌とする捕食者の個体数や健康にも影響が及びます。
食物連鎖のバランスが崩れれば、漁業資源などを通じた人間への影響も避けられません。
さらに、私たち人間への影響も無視できません。
マイクロプラスチックはすでに海産魚介類や食塩、飲料水などから広く検出されており、知らず知らずのうちに体内に取り込まれています。
先行研究でヒト血液中に複数のプラスチックポリマーが発見された例もあり、家畜用飼料や畜産物への拡大は現時点では明確ではないものの、将来的に無視できない懸念が残ります。
そのうえ培養細胞を使った実験ではマイクロプラスチックが細胞に損傷を与える結果もあるため、長期的には健康影響の可能性を慎重に見極めることが求められます。