香港の香港理工大学(Hong Kong Polytechnic University)で行われた研究によって、動物がマイクロプラスチック入りの餌を繰り返し食べることで、やがて汚染された餌を「おいしい」と認識し、積極的に選ぶように学習してしまう可能性が明らかになりました。
研究では、モデル生物として広く用いられる小型の線虫(Caenorhabditis elegans)を用いて、マイクロプラスチック汚染餌に数世代にわたり曝露させました。
すると線虫たちはマイクロプラスチック入りのエサやがて好んで食べるようになり、この嗜好性の変化は生まれつきの遺伝的な要因ではなく、経験を通じて獲得されたものであることも確認されました。
この現象は海洋生態系全体、さらには人間の食生活にも影響を与える可能性があります。
現在、多くの生命でマイクロプラスチックを普通のエサよりも多く食べてしまう現象が確認されており、それらを食べる人間の体にもマイクロプラスチックが確認されるようになっています。
ですが人類が無意識のうちに作り出した「プラスチックの味」を、動物たちはどうして好んで食べるようになってしまうのでしょうか?
研究内容の詳細は『Environmental Science & Technology Letters』にて発表されました。
目次
- プラスチックを『好むようになる』動物の不気味な現象
- 動物がマイクロプラスチックを「好きになる」衝撃の学習現象
- プラスチックを“美味しい”と感じる動物――人間社会への警鐘
プラスチックを『好むようになる』動物の不気味な現象

海洋に蓄積するプラスチックごみは、今や数百万トン規模に達し、動物たちがそれを誤食する例が数多く報告されています。
ウミガメが透明なビニール袋をクラゲと間違えて飲み込むことや、魚が砕けた米粒サイズのプラスチック片をプランクトンだと思って食べることはよく知られています。