だからこそ、実行機能が低下するパターンを見つけることが大切です。

たとえば、「何か文章を書く作業をしている時、手を動かす代わりに文章をじっと見つめる時間が増えたなら、おそらく空腹で頭が働いていないのだ」といった自分のパターンを探してみてください。

そうしたパターンを理解できたなら、職場の引き出しに飲み物やスナックを常備したり、睡眠の質を記録したりと、対策を立てられるようになります。

4つ目の要素は気を散らすものです。

「使っていないから関係ない」と思っていませんか?

実は、スマホが視界にあるだけで、脳は“監視のリソース”を割いているのです。

ある研究では、机の上にスマホがあるだけで、認知テストの成績が下がることが示されています。

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机の上にスマホを置くだけでハードモードに / Credit:Canva

また、マルチタスクという考え方も誤解されています。

マルチタスクできる人は「仕事ができる」といったイメージを持っているかもしれません。

しかし脳は毎回、切り替えのたびにエネルギーを消費しており、それが注意力を削っているのです。

だからこそ、1つの作業に集中する、スマホは別室に置く、不要なブラウザのタブは閉じる、作業中に視界に誘惑を置かないといった環境設計が重要になります。

このようにして、脳に余計な負荷をかけずに済むようにすることが、人生のハードモードを避けるカギになります。

『ELDEN RING』で10回やられても「次こそは!」と挑めるのは、その失敗がゲーム内で完結しているからです。

しかし、実生活での失敗やストレスは、確実に明日の自分に影響します。

だからこそ、人生ではイージーモードで進めることが大切です。

それは怠けるという意味ではなく、脳のポテンシャルを最大限引き出すための工夫をするということです。

水を飲むこと。  静かな環境を整えること。体の声に耳を傾けること。 スマホを遠ざけること。