この多面性は、既存の政党に不満を持つ幅広い層からの支持を集める要因となっている。特に、「外国人の受け入れ問題」のように、既存政党が明確な立場を示しにくい問題を争点化する巧妙さ※22)は、特定の有権者層に強く訴えかけている。この戦略は、従来の政治的枠組みでは捉えきれない有権者の不満や関心事を捉え、支持基盤を拡大していることを示している。

3.3 主要政策と政治的イデオロギー

参政党は、既存政党の忖度政治とは一線を画し、国益を守る政治を国会で実現することを目指している※19)。

彼らは「日本をなめるな!」を旗印に、以下の政策を訴えている※19)。

積極財政と減税を柱とした経済政策※19) 外資による日本買収の抑制※19) 過度な移民受け入れの抑制※19)

彼らの政策は、日本の伝統文化や歴史を重視する保守的な側面を持つ一方で、国民の健康や食の安全、教育といった生活に密着したテーマにも深く言及している。

例えば、党の活動では、丸谷元人氏による「グローバル全体主義の時代とインテリジェンス」や、宮沢孝幸氏による「新興感染症に対抗する人材の育成と政策への反映」、鈴木宣弘氏による「日本の農業の実情と食糧自給率」といった専門家による講演が紹介されており※27)、これらは党の政策形成の基盤となっている。

特定の社会問題に対する参政党の立場は、党員・サポーターを対象としたアンケート調査の結果から詳細に分析されている。例えば、選択的夫婦別姓制度については、党員・サポーターの9割以上が一定の理解を示しているものの、「別姓を希望する」と回答した人はわずか2.0%に留まっている※28)。87.7%が「希望しない」と明確に回答しており、現行の「夫婦同姓+通称使用」で十分と考える人が大多数であることが示されている※28)。

この調査では、回答者の98.9%が「家族は同じ姓であるべき」という考え方に共感を示しており、家族の一体感や社会的な信頼、文化的な継承といった深い価値観が現行制度を支持する基盤となっていることが明らかになった※28)。